インドネシア vs ベトナム ― 技能実習・特定技能の送出し国をコスト・定着・為替の数字で比較

**ヘッドライン** – インドネシアの特定技能在留者数は、2022年末から2025年末までの3年間で約5.3倍に増えました。ベトナムの伸び(約2.1倍)を上回るペースです。 – 技能実習生の失踪者数(2025年)は、受入れ規模に対する割合で見るとインドネシアのほうが小さく、相対的に定着率が良い傾向があります。 – 「どちらが良いか」ではなく、職種と条件に合わせて送出し国を選ぶための材料として、2か国の数字を並べました。 ## 最低賃金を円換算で比べると 2026年の最低賃金を、2026年(1〜9月)の平均レートで円に換算すると次のようになります。 インドネシアの最低賃金は月額232.7万〜573.0万IDR注1、ベトナムは月額370万〜531万VNDです。インドネシアは首都圏(ジャカルタ特別州)とそれ以外の地域で賃金差が大きく、送出しの多い地方部ではベトナムと同程度の水準です。 もっとも、この数字だけで単純に比較することには限界があります。インドネシアでは、最低賃金を守らない企業も少なくないとされ、雇用形態も1年契約が一般的で、収入が安定しにくいという事情があります(当社の実感)。制度上の最低賃金だけでなく、こうした自国での雇用の不安定さが、海外で働く意欲の強さにつながっている面があります。 ## 送出し規模はインドネシアが急速に伸びています 特定技能の在留者数を2022年末から2025年末まで追うと、ベトナムが77,135人から164,352人(約2.1倍)に増えたのに対し、インドネシアは16,327人から86,955人(約5.3倍)に増えました。 全体の規模ではベトナムが先行していますが、この3年間の伸び率ではインドネシアが明確に上回っています。母集団が大きい国を選ぶか、伸びている国を選ぶかによって、見え方は変わってきます。 ## 受入れ規模に対して、失踪者数は少なめです 出入国在留管理庁の速報値によりますと、2025年の技能実習生の失踪者は全体で3,950人、国籍別ではベトナム2,593人、インドネシア444人でした。 受入れ規模との比較も見ておきます。2024年度の技能実習計画認定件数に占める割合は、ベトナム40.6%、インドネシア26.1%です。失踪者に占める割合はそれぞれ65.6%、11.2%で、インドネシアは受入れ規模に比べて失踪者の割合が小さくなっています(年度と暦年で期間が異なるため、あくまで目安です)。なお、失踪者数は両国とも前年から減っています。 こうした定着率の差の背景には、送出し費用の違いもあると考えられます。法務省の実態調査によりますと、技能実習生が送出し機関に支払う費用の総額(平均)はベトナムが65.6万円、インドネシアが23.1万円で、来日前の借金額(平均)もベトナムが67.4万円、インドネシアが28.2万円と、ベトナムがインドネシアの2倍以上です。送出し前に重い債務を抱えたまま来日する実習生が、ベトナムには相対的に多いとみられます。 法務省の有識者会議資料によりますと、日本から送出国政府への技能実習の不適正事案の通報は計137件(2022年8月時点)にのぼり、このうちベトナムが97件(70.8%)と突出して多くなっています。通報内容で最も多いのは「送出国の法令への違反」、次いで「高額な手数料の徴収」です。特定技能でも、通報19件のうち15件(78.9%)がベトナムでした注7。保証金の徴収や不透明な手数料を取る仲介業者(ブローカー)の関与が、こうした不適正事案の背景にあるとされます。実習生の募集が難しくなるほど、こうした仲介業者が活発化する傾向もあるとされます。責任の大きさで言えばまずは送出機関側にありますが、こうした実態を知りながらベトナム人材にこだわり続ける受入れ企業・管理組合の側にも、責任の一端があるといえるでしょう。 […]

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