インドネシアの送出し規制はどう変わる? 技能実習の所管がKP2MIへ ― 手数料ゼロ原則と借金問題の今

**ヘッドライン** – 10月6日、インドネシアの国会で「労働保護法」が成立し、日本の技能実習を含む海外での実習の所管が、労働省から移住労働者保護省(KP2MI)へ移ることになりました。経過期間は1年で、2027年末までの移行完了が目標とされています。 – インドネシアには「移住労働者に渡航費用を負担させない」という法律上の原則があります。それでも、技能実習生の約半数は借金をして来日しているのが実情です。 – 日本側も、2027年4月に始まる育成就労で、本人が送出機関に払う費用を月給2か月分までに制限します。日本とインドネシアの双方でルールが同時に動く時期に入りました。 ## 技能実習の窓口がKP2MIに一本化されます これまでインドネシアから日本への技能実習は労働省の所管で、送出しを行う学校(LPK)や送出機関(SO)の許可も労働省が出してきました。 国営通信ANTARAによりますと、ムフタルディン移住労働者保護相は、新法の成立により海外での実習が労働省からKP2MIに移り、経過期間は1年になると述べています。移行は2027年末に完了する見込みで、以後、労働省は国内の実習と労働市場に専念し、海外での就労・実習はKP2MIが一つの窓口でまとめて扱います。 一方で、送出機関の許可をどう切り替えるのか、費用のルールをどう適用するのかといった細かい施行規則は、まだ示されていません。 ## 「費用ゼロ」の原則と、その適用範囲 インドネシアの移住労働者保護法(2017年法律第18号)第30条は、「移住労働者に配置費用を負担させてはならない」と定めています。これを具体化した2020年の規則では、家事労働者、介護者、農園労働者、漁船員など搾取を受けやすい10職種について、航空券、ビザ、職業訓練、健康診断など14項目の費用を本人負担から外しました。 ただ、免除の対象はこの10職種に限られます。労働省の所管で動いてきた技能実習は、この枠組みとは別の扱いでした。所管がKP2MIに移ったあと、技能実習生の費用負担にどのルールが当てはめられるのかは、今後の施行規則を見ていく必要があります。 ## 数字で見る借金問題 ― インドネシアは平均より低いものの 出入国在留管理庁が技能実習生約2,200人に聞き取った調査では、来日前に送出機関や仲介者に支払った費用の平均は全体で54.2万円、インドネシアは23.5万円でした。来日のために借金をした人の割合は、全体54.7%に対してインドネシアは45.9%、借金の平均額は28.2万円です。 国別に見ると、インドネシアの負担は比較的軽い部類に入ります。それでも、2人に1人近くは借金を抱えて来日しています。費用と定着の関係については、前回の記事「インドネシア […]

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インドネシア vs ベトナム ― 技能実習・特定技能の送出し国をコスト・定着・為替の数字で比較

**ヘッドライン** – インドネシアの特定技能在留者数は、2022年末から2025年末までの3年間で約5.3倍に増えました。ベトナムの伸び(約2.1倍)を上回るペースです。 – 技能実習生の失踪者数(2025年)は、受入れ規模に対する割合で見るとインドネシアのほうが小さく、相対的に定着率が良い傾向があります。 – 「どちらが良いか」ではなく、職種と条件に合わせて送出し国を選ぶための材料として、2か国の数字を並べました。 ## 最低賃金を円換算で比べると 2026年の最低賃金を、2026年(1〜9月)の平均レートで円に換算すると次のようになります。 インドネシアの最低賃金は月額232.7万〜573.0万IDR注1、ベトナムは月額370万〜531万VNDです。インドネシアは首都圏(ジャカルタ特別州)とそれ以外の地域で賃金差が大きく、送出しの多い地方部ではベトナムと同程度の水準です。 もっとも、この数字だけで単純に比較することには限界があります。インドネシアでは、最低賃金を守らない企業も少なくないとされ、雇用形態も1年契約が一般的で、収入が安定しにくいという事情があります(当社の実感)。制度上の最低賃金だけでなく、こうした自国での雇用の不安定さが、海外で働く意欲の強さにつながっている面があります。 ## 送出し規模はインドネシアが急速に伸びています 特定技能の在留者数を2022年末から2025年末まで追うと、ベトナムが77,135人から164,352人(約2.1倍)に増えたのに対し、インドネシアは16,327人から86,955人(約5.3倍)に増えました。 全体の規模ではベトナムが先行していますが、この3年間の伸び率ではインドネシアが明確に上回っています。母集団が大きい国を選ぶか、伸びている国を選ぶかによって、見え方は変わってきます。 ## 受入れ規模に対して、失踪者数は少なめです 出入国在留管理庁の速報値によりますと、2025年の技能実習生の失踪者は全体で3,950人、国籍別ではベトナム2,593人、インドネシア444人でした。 受入れ規模との比較も見ておきます。2024年度の技能実習計画認定件数に占める割合は、ベトナム40.6%、インドネシア26.1%です。失踪者に占める割合はそれぞれ65.6%、11.2%で、インドネシアは受入れ規模に比べて失踪者の割合が小さくなっています(年度と暦年で期間が異なるため、あくまで目安です)。なお、失踪者数は両国とも前年から減っています。 こうした定着率の差の背景には、送出し費用の違いもあると考えられます。法務省の実態調査によりますと、技能実習生が送出し機関に支払う費用の総額(平均)はベトナムが65.6万円、インドネシアが23.1万円で、来日前の借金額(平均)もベトナムが67.4万円、インドネシアが28.2万円と、ベトナムがインドネシアの2倍以上です。送出し前に重い債務を抱えたまま来日する実習生が、ベトナムには相対的に多いとみられます。 法務省の有識者会議資料によりますと、日本から送出国政府への技能実習の不適正事案の通報は計137件(2022年8月時点)にのぼり、このうちベトナムが97件(70.8%)と突出して多くなっています。通報内容で最も多いのは「送出国の法令への違反」、次いで「高額な手数料の徴収」です。特定技能でも、通報19件のうち15件(78.9%)がベトナムでした注7。保証金の徴収や不透明な手数料を取る仲介業者(ブローカー)の関与が、こうした不適正事案の背景にあるとされます。実習生の募集が難しくなるほど、こうした仲介業者が活発化する傾向もあるとされます。責任の大きさで言えばまずは送出機関側にありますが、こうした実態を知りながらベトナム人材にこだわり続ける受入れ企業・管理組合の側にも、責任の一端があるといえるでしょう。 […]

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アナク・クラカタウ火山が大規模噴火 ― 空の便の混乱と、9月上旬時点の状況

– ジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡にあるアナク・クラカタウ火山が、2026年9月4日の夜から大規模な噴火を続けています。噴煙は最高で約15,000メートルに達し、火山灰は約150キロ離れたジャカルタ周辺でも観測されました。 – 火山灰の影響で、週末にかけて最大8つの空港が運航を停止し、約2,900〜3,000便が欠航・変更となり、34万人以上が足止めされました。ANA・JAL・ガルーダ・インドネシア航空のジャカルタ=日本の直行便も、9月5〜7日に欠航・目的地変更が相次ぎました。 – スカルノハッタ国際空港などは9月8日に運航を再開しました。ただし、機体点検を経ての段階的な復旧のため、当面はダイヤの乱れが残ります。日本への津波の影響はありません。 ## 何が起きているか インドネシア・ランプン州のアナク・クラカタウ火山は、9月4日の夜から噴火が続いています。オーストラリア・ダーウィンの航空路火山灰情報センター(VAAC)や気象衛星ひまわり9号の観測によりますと、噴煙の高さは一時、約15,000メートル(約50,000フィート)に達しました。9月6日には、スメル山(東ジャワ州)、イレ・レウォトロク山(東ヌサトゥンガラ州)、イブ山(北マルク州)でも噴火が観測され、広い範囲で航空路に影響が出ました。 アナク・クラカタウの警戒レベルは、4段階のうち上から2番目の「レベル3(シアガ=警戒)」に引き上げられ、火口の中心から半径3キロが立入禁止となっています。 ## 空の便への影響 火山灰はエンジンや機体を損傷させるため、航空各社は火山灰の空域を避けて運航します。今回は週末にかけて最大8空港が運航を停止し、約2,900〜3,000便が欠航・変更となり、34万人以上に影響が出ました。首都ジャカルタのスカルノハッタ国際空港とハリム空港も一時閉鎖されました。ANA・JAL・ガルーダ・インドネシア航空のジャカルタ=日本の直行便は、9月5〜7日にかけて欠航や目的地変更となりました。 インドネシア運輸省は9月8日の未明、スカルノハッタ国際空港とハリム空港、ジャワ島などの地方空港が運航を再開したと発表しました。閉鎖されていた8空港は、いずれも同日中に再開しています。ただし、再開後は全機体の点検が必要で、受け入れを段階的に戻しているため、しばらくは遅延や振替が起こり得ます。渡航の予定がある場合は、ご利用の航空会社の運航情報と、在インドネシア日本国大使館のスポット情報で、最新の状況をご確認ください。 ## 津波の心配について クラカタウには、1883年の大噴火で3万6,000人以上が犠牲になり、2018年にも山体崩壊にともなう津波でインドネシア側に400人を超える被害が出た経緯があります。このため噴火のたびに津波が懸念されますが、今回の噴火では津波は観測されていません。日本の気象庁も、噴煙の高さが監視基準に達したことから潮位の変化を監視しましたが、日本国内外の観測点で有意な変化はなく、日本への津波の影響はないと発表しています。 ## 送出し・受入れ実務への影響 8月15日のフローレス島沖地震は被害が東部の一地方にとどまりましたが、今回は、採用・送出しの中心地であるジャカルタ首都圏の空港が一時止まった点が異なります。9月5〜8日に予定されていた、面接のための往来(日本とインドネシアの相互)、入国前研修を終えた方の来日、一時帰国からの再入国、試験受験のための移動などに、短期的な遅れが出た可能性があります。 空港は9月8日に再開しているため、新たな渡航が長期にわたって止まる状況ではありません。当面は、予約済みの便の遅延・振替と、書類などの航空貨物の遅れにご注意いただき、来日・帰国の日程には数日の余裕を見ておくことをお勧めします。 ## […]

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インドネシア・フローレス島沖地震 ― 被害の現状と、交通・渡航への影響

– 2026年8月15日に、インドネシア東部・フローレス島の北沖でマグニチュード7.7〜7.8の地震が発生しました。発生から約1か月が経ちましたが、9月上旬の時点でも避難者は約18万〜19万人にのぼり、復旧は途上にあります。 – 被害は東ヌサトゥンガラ州にほぼ限定されています。ジャワ島など他の地域を拠点とする採用・面接・入国前研修・渡航手続きへの直接的な影響は確認されていません。 – 島内の主要な空港は被災しながらも運航を続けており、9月の時点で定期便はおおむね再開しています。ただし、一部路線の減便や陸路の寸断が残っているため、現地への渡航予定がある場合は、航空会社や空港運営者の最新の発表をご確認ください。 ## 地震の概要 インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)や米地質調査所(USGS)によりますと、地震は2026年8月15日午前5時58分(現地時間、日本時間では午前6時58分ごろ)に発生し、規模はマグニチュード7.7〜7.8、震源はフローレス島北部の沖合、震源の深さは10〜25kmとされています。震源に近いマンガライ県レオクでは最大で約1.61mの津波が観測され、津波警報は約1時間半後に解除されました。東ヌサトゥンガラ州知事は、8月15日から14日間の非常事態を宣言しました。 ## 被害の現状 被害の統計は日を追って増えています。現地の報道や英語版ウィキペディアの集計では、8月末から9月初旬の時点で、死者は127〜135人、負傷者は約1,700人(うち重傷は300人超)、避難者は約18万〜19万人、損壊・全壊した住宅は約9万5,000〜9万7,000棟に達しています。学校などの教育施設は1,900校前後が被害を受け、授業の再開が遅れている地域が多くなっています。8月30日までに約9,800回の余震が記録され、体に感じる規模のものも150回を超えました。 日本のNGO(ピースボート災害支援センター)の現地報告によりますと、9月上旬の時点でも、交通の便が悪い山間部では物資・水・通信が十分に届かない孤立した集落が残っています。一方で、幹線道路の啓開、停電の復旧、野戦病院の設置、5万食規模の食料配布など、政府・軍・赤十字による支援は進んでいます。 ## 交通・渡航への影響 フローレス島とその周辺の5つの空港(ルテンのフランス・サレス・レガ空港、ラブアンバジョのコモド国際空港、エンデのハサン・アルブブスマン空港、マウメレのフランシスクス・ザベリウス・セダ空港、バジャワのソア空港)で、天井やターミナル、滑走路などに被害が出ました。ただし、いずれの空港も閉鎖は回避され、運航は続いています。 地震の直後は、エンデ空港が8月20日まで全便を欠航し、ルテンではウイングス・エアが8月22日まで運休、マウメレは開港していたものの定期運航が不安定、という状態でした。被害が比較的軽かったラブアンバジョは早期に通常化し、コモド国立公園の観光も動いています。9月の時点では、主要な空港の定期便はおおむね再開していますが、便数を絞っている路線があり、島内の陸路は区間によって寸断が続いています。渡航の予定がある場合は、ご搭乗になる航空会社と空港の公式発表で、最新の運航状況をご確認ください。 ## 送出し・受入れ実務への影響 今回の被害は、東ヌサトゥンガラ州にほぼ限定されています。インドネシアからの技能実習・特定技能の採用活動や入国前研修の多くはジャワ島で行われており、面接の日程、入国前教育、在留資格・渡航の手続きに、広い範囲での影響は出ていません。 同州で採用活動を行っている場合は、自治体庁舎の被災により、戸籍・住民票などの証明書の発行や国内の移動に遅れが生じる可能性があります。該当する地域に候補者がいる監理団体・受入れ企業は、送出し機関を通じて、ご本人とご家族の安否や、書類手続きの見通しを個別にご確認ください。 ## […]

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